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情報を正しく受け取っていますか?

新型コロナウイルスに関する様々な情報がSNSやインターネット上で流されています。

しかしその中には完全なデマ情報も多く含まれています。

このデマ情報によって一部では全く無意味な行動で混乱を引き起こしているものもあります。

その一つが「トイレットペーパーがなくなる」といったデマです。

 

ではこの情報、何がデマかを見ていきましょう。

最初の発信源は多分、TwitterとFacebookに

「トイレットペーパーとテッシュの製造、生産元が中国で生産がストップしているので品薄になる」

と言った内容の書き込みです。

では、トイレットペーパーの自給率を見れば中国から製品が入ってこなくなった際の影響がわかるでしょう。

  

自給率の計算は「e-Stat 政府統計の総合窓口の自給率計算方法」を参考にします。

    自給率 = 各品目の国内生産量 ÷各品目の国内消費仕向量 × 100(重量ベース)

    国内消費仕向量 = 国内生産量 + 輸入量-輸出量 - 在庫の増加数(または + 在庫の減少量)

 

この計算に必要なデータを「生産動態統計 / 経済産業省生産動態統計調査(各省共通集計表) / 各省共通集計表」(最新版)から探してきます。

【国内生産量】

2019年11月、12月のデータは以下の通りです。(数量単位:t)

年 月 月末在庫数量 生産数量 販売数量
2019年11月 13983 89823 84335
2019年12月 12283 88796 90889

 

2018年、2019年をまとめたデータは以下の通りです。(数量単位:t)

年 月 末在庫数量 生産数量 販売数量
2018年 8275 1046310 1047587
2019年 2283 1058422 1058237

 

 

【輸入・輸出量】

税関のデータからトイレットペーパー単体のコードを参照して

輸出統計品目表(2020年1月版)で「第48類 紙及び板紙並びに製紙用パルプ、紙又は板紙の製品」の品目表を確認すると統計番号が確認できます。

 

 4818.10 000 -トイレットペーパー

 

数字の部分の「481810000」の9桁がトイレットペーパーの統計番号になるので統計品目表で検索すると輸出&輸入数量が調べられます。

調べた結果が以下の通りです。

 

輸入数量(輸入量)は以下の通りです。

年月 輸入数量(kg)
2019年12月 1997114
2019年累計 24944375

 

輸出数量(輸出量)は以下の通りです。

年 月 輸出数量(kg)
2019年12月 100849
2019年累計 1069161

 

【計算】

では、2019年12月の自給率から計算。※単位はtで統一します。

国内生産量:88796

輸入量:1997.114

輸出量:100.849

在庫の減少量:1700(13983-12283)

 

88796 ÷ (88796 + 1997.114 - 100.849 + 1700) × 100 = 96.1076124717

2019年12月の自給率:約96.1%

 

次に2019年、一年間の自給率を計算。

国内生産量:1058422

輸入量:24944.375

輸出量:1069.161

在庫の増加量 4008(12283-8275)

1058422 ÷ (1058422 + 24944.375 - 1069.161 - 4008) × 100 = 98.1575245544

2019年一年間の自給率:約98.2%

 

以上が、トイレットペーパーの自給率です。

 

これで中国の製造、生産がストップしたとしても全く影響がないことがわかります。

日本で消費されるほぼ全てが国産なのです。

よって、この情報は真っ赤なウソ、悪質なデマ情報だとわかります。

 

様々な情報が行き交うなかで正しいものか正しくないものかを見抜くことも現在の社会においては必要な能力です。

今回は例として必要な情報を自前で集めて計算しましたがファクトチェックをしているサイトはいくつも存在します。

それらのサイトをいくつか照らし合わせることによっても情報が正しいものかどうかの判断は出来ます。

こうした悪質な情報をもしリツイートしたりLINEやFicebookにアップした場合最初の発信者でなくても最悪、名誉棄損等により損害賠償を

請求されることになります

実際に名誉毀損で有罪判決になり結果、損害賠償の支払いを命じた判例があります。

 

インターネット上の情報だからと軽々しく信じて第三者に転送することがいかに危険な行為か重々気をつけてください。

特に、こういった社会が混乱しているときはデマや悪質な情報の流布が増えるので要注意です。

くれぐれもデマや悪質情報の流布に加担するような事のないよう常に情報を精査して見るクセをつけてください。